銭形泪 シャーロキアンは知っている〜「赤毛連盟」殺人事件

この話、演出が他の話とはちょっと変わってて面白いですね。ただ、トリックらしいトリックがないのでそれだけの話かなと思ってたんですが、今回見なおしてみて意外に奥が深そうという気もしてきました。

まず、ドラマ上ではとりたてて触れられることもなくさらっと流されてるんですが、赤井が矛盾した言動をする場所があります。それは、居酒屋ストランドで高村が泪に「ジャーロキアンて何?」と聞いたときに赤井が答えるところです。「シャーロキアン」という言葉を知っている赤井が、事件が「赤毛連盟」そっくりだということは知らないのです。赤井がうそをついていることを暗示している重要な言動なのに、さらっと流されています。このやり取りの前後で、赤井が泪の着ているシャーロックホームズの衣装に興味を示している所を見ると、これはどうも意図的なようです。この手の推理ドラマでは、謎解きの鍵になる所はそうとわかるように強調するものですが、あえてそのセオリーに逆らってみたふしがあります。(通常目立たせるところを目立たせないというチャレンジなので、チャレンジしたこと自体が目立ってないですが)

また、泪がシャーロックホームズのマニアだということがこの話で明かされるわけですが、これは、「謎は解けたよワトソン君」というケータイ刑事シリーズ通しての謎への糸口を暗示させてます。

ということで意外に裏のありそうなこの話ですが、それは置いといても、エンディングが良いですね。ホームズの言葉を暗誦してみせる泪の姿は、文学少女を扱った青春映画のワンシーンのようです。ただ、そのあとの高村の「太宰か...」というボケは高級過ぎてわかりにくいですが。